今回はインドネシアの民芸品、バティックをご紹介します。
この記事で分かること
・バティックの知識が深まる
インドネシアのバティックをご存知でしょうか。
バティックは、インドネシアでの伝統的な民族衣装です。
カジュアルなシーンから会社や公的なイベントにも正装として着ていくことが出来る便利な服ですね。
本記事では、そんなバティックを深堀りしてみたいと思います。
私自身、インドネシアで働いていた時に毎日バティックを着るほど愛用していました。
スーツより硬い感じではなく、正装として着られるカジュアル感が好きでしたね。
バティックは、インドネシア生活では欠かせないアイテムです。
本記事を読んで魅力を感じてください。
バティックとは?
バティックは、インドネシアの伝統的なロウツケ染め技術を指します。
実は、布自体をバティックと呼ぶわけではないんですよね。
この『ロウツケ染めの技術』が、世界無形文化遺産に登録されました。
バティックは、色を染めない部分に溶かしたロウを塗って染色するロウツケ染めのことで、専門用具で様々な文様にロウ置きをし染色するという作業を、文様を変えて何回も繰り返して出来上がります。
江戸時代には、日本でもジャワ更紗と呼ばれて親しまれていました。
8世紀ころに持ち込まれたインド更紗が起源と言われています。
クローズアップされてきたのは、ジョグジャカルタやソロなど中部ジャワの王宮文化が隆盛した18世紀ころです。
バティックの種類
バティックは、製作方法によって種類を分けることが出来ます。
仕上がりまでの時間や、使用する布地によって値段が変わります。
手描き(Tulis(トゥリス))
『手描き(Tulis)』は、溶かしたロウを入れる細い銅製の管が付いたチャンティンと呼ばれる道具を使い、布にロウ置きしながら文様を描きます。
表と裏の両面にロウ置きするので、裏面だけ色が薄いということはありませんよ。
型押し(Cap(チャプ))
『チャプ』と呼ばれる銅製の薄板で文様を作った型を、溶かしたロウに付けスタンプのように布に押して製作する製法です。
19世紀半ばに登場した手法で、チャプの使用でバティックの量産が可能になりました。
スクリーン(Sablon(サブロン))
『サブロン』は、白地の布と同じ大きさの版に文様をプリントし染色する手法です。
地域によってはプリント後、型押しや手描きを加えたり、伝統色で染めることもあります。
手描きや型押しに比べて工程が簡易なため、リーズナブルな価格で購入可能です。
コンビネーション(Kombinasi(コンビナシ))
『コンビネーション』は、名前の通り、手描き(Tulis)と型押し(Cap)を組み合わせた製法です。
組み合わせることで文様のバリエーションが増えます。
シャツやブラウスなど、洋服に用いられていることが多い手法ですね。
バティックの産地と文様
以前のバティックは、インドネシアの一部の貴族に着用を許されていました。
その後、一般庶民にも広がり、地域ごとに特徴的な文様が生まれました。
インドネシア各地で、その地域の文化を感じる独特の文様で発展を遂げてきました。
本記事では、バティックの生産地として知られる有名なエリアを中心に紹介していきます。
各地の文化やバティックに表されている特徴が分かりますよ。
チルボン
ジャワ島の北海岸に位置し、貿易の中心を担ったチルボンでは、古くから中国の影響を受けています。
花鳥や幾何学の柄が多く『雲』を意味するメガ文様が代表的な文様です。
色彩よりも絵画的な特徴があります。
プカロンガン
『プカロンガン』エリアのバティックは、ジャワ島北海岸の典型的な更紗文様の一つです。
エリア的にはチルボンに近いですね。
この地域では、多くの華僑やインド人、ヨーロッパ人がバティック工房を始めたことから、新しい文様が生まれました。
中でも、ヨーロッパ趣味の華やかな花束文様が『カイン・ブケット(布の花束)』と呼ばれていて有名です。
ジョグジャカルタ
ジョグジャカルタは、インドネシアを代表する観光地です。
世界遺産である『ボロブドゥール寺院遺跡群』や『プランバナン寺院群』が有名ですね。
ジョグジャカルタエリアでは、茶色い染料の『ソガ染め』が基本で、赤みを帯びた茶褐色やこげ茶色が主流となります。
剣を表す『パラン文様』や、植物やガルーダでジャワ文化の世界観を表した『スメン文様』が代表的な文様ですね。
ソロ
ソロ(スラカルタ)は、ジョグジャカルタに近い中部ジャワの古都です。
ジョグジャカルタと同じく『ソガ染め』が有名なエリアとなります。
ジョグジャカルタに比べてやや黄色味を帯びている色合いが特徴ですね。
文様に関しては、パランやスメンのほかに、花鳥や七宝柄が多くあります。
王宮文化が根付くエリア的背景から、王族だけが着用を許されていた『パラン文様』など、バティックからその地域の歴史が感じられますよ。
ラスム
『ラスム』は、ジャワ島の北海岸のやや東寄りエリアにあります。
茜色(暗い赤、夕暮れの空のイメージ)が有名で、この色合いを出す技術は門外不出と言われています。
ほかの産地では同じ色に染められないため、茜色の部分だけをラスムに特注していたとのことです。
当時の技術は、現在では再現が難しいと言われています。
特徴的な色使いがほかのバティックとは違い注目されています。
まとめ:バティックとは!?【インドネシアの無形文化遺産】
いかがだったでしょうか。
インドネシアのバティックが分かりましたか。
バティックの種類や産地、特徴が分かったかと思います。
今回紹介したバティックは、有名な産地を抜粋した内容となります。
この他に、スマランやその他の地方ごとにも、地域に根ざしたバティックがありますよ。
地域ごとにバティックを通して、インドネシアの文化に触れることが出来ます。
今度、バティックを購入する際には、本記事で紹介した特徴を思い出しながら選んでみるのも面白いですよ。
バティックの豆知識として、長袖がフォーマルシーン・半袖がカジュアルシーンと覚えておきましょう。
結婚式に誘われたときや、会社の開所式などのフォーマルなシーンでは長袖、普段の会社での着用は半袖など、使い分けられるといいですね。
ちなみに、私自身はすべて長袖で、カジュアルもフォーマルも同じバティックを着ていました。
シーンを選びつつ、自分に合った着こなしをしましょう。
Good Luck!